
- ※2026年9月9日時点の公表資料に基づいています。募集期間や条件は変更される場合があるため、申請時には各制度の公式サイトをご確認ください。本文中の締切時刻は日本時間です。
目次
はじめに
法律事務所の開業には、賃料や備品、ホームページ、業務ソフトなどの初期費用に加え、報酬の入金が安定するまでの運転資金が必要です。
この記事では、独立開業を準備している弁護士や、開業間もない法律事務所に向けて、補助金・公的融資・創業支援を紹介します。「開業前から使えるか」「支払いに間に合うか」も踏まえて検討しましょう。
また、記事の後半では、開業間もない法律事務所・弁護士法人を対象とした、Armanaのお得なキャンペーンもご案内しています。開業時の業務管理費を抑えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
弁護士の開業で検討したい補助金・融資・支援制度一覧
制度を選ぶ際は、「何に使うか」と「いつ資金が必要か」を整理しましょう。
下記の表は横スクロールでご確認いただけます| 制度・支援 | 主な用途 | 金額の目安・特徴 |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 | 設備資金・運転資金 | 融資限度額7,200万円。返済が必要 |
| 特定創業支援等事業(市区町村) | 開業準備・経営知識の習得 | 証明書が融資の優遇や補助金の申請要件に関係。受講と発行の期間を見込む |
| 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉 | 開業後の販路開拓 | 補助上限200万円、補助率2/3。特例あり |
| 東京都創業助成事業 | 都内での創業初期の経費 | 助成上限400万円、助成率2/3以内。経費区分ごとに上限あり |
| デジタル化・AI導入補助金2026〈通常枠〉 | 業務ソフトの導入 | 補助額5万〜450万円、原則1/2以内。申請額・機能等によって条件が異なる |
| 自治体・日弁連等の支援 | 地域での開業や相談 | 開業地・制度によって異なる |
上記の表は横スクロールでご確認いただけます
本記事で紹介する補助金・助成金は、原則として支出後に実績を報告し、確認を受けてから入金されます。採択されても、その時点で自由に使えるお金が振り込まれるわけではありません。支払いまでの資金は、自己資金や融資などで用意する必要があります。
また、補助金・助成金には審査があり、対象要件を満たしていても採択されるとは限りません。資金計画は、受給を前提にしすぎないことが大切です。
開業資金を調達する|日本政策金融公庫の創業融資
設備資金と運転資金を相談できる
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした融資です。開業時や開業後に必要な設備資金・運転資金に利用できます。
融資限度額は7,200万円。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、いずれも据置期間は5年以内です。実際の融資額や返済条件は審査によって決まるため、上限額まで借りられることを約束する制度ではありません。
創業期は原則として無担保・無保証人。金利の優遇もある
新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方は、原則として無担保・無保証人で利用できます。また、適用される利率から原則0.65ポイント、雇用の拡大を図る場合は0.9ポイント引き下げられます。借入金利そのものが年0.65%になるという意味ではありません。
借入額は「必要な額」と「返せる額」の両方から考える
相談前に、次の3点を整理しておきましょう。
- 開業時に一度だけ発生する費用と、毎月発生する経費
- 自己資金で用意できる額と、借入れが必要な額
- 受任・入金の見通しと、毎月の返済に充てられる額
報酬の入金が遅れた場合も想定し、実際の金利と毎月の返済額を確認してください。
早めに確認したい|市区町村の「特定創業支援等事業」
経営を学び、補助金や融資の要件を整える
特定創業支援等事業は、産業競争力強化法に基づき、市区町村や連携機関が行う創業者向けの継続的な支援です。経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野を学び、要件を満たすと市区町村から証明書の交付を受けられます。
受講は原則として1か月以上・4回以上。その後、証明書の交付申請と発行にも時間がかかります。日程や交付対象者は自治体ごとに異なるため、融資相談と並行して、受講から発行までの期間を確認しましょう。
開業予定地で利用できる支援は、中小企業庁の市区町村別一覧や自治体の創業支援窓口で探せます。
弁護士の開業で検討したい3つの活用先
1. 創業関連保証を利用できる時期の前倒し
信用保証協会が金融機関からの借入れを保証する制度です。まだ事業を営んでいない個人について、通常は「融資実行日から1か月以内に個人開業」または「2か月以内に会社を設立して創業」という要件が、所定の支援を受けると6か月以内に広がります。保証限度額は3,500万円。無担保ですが、保証料がかかり、金融機関・信用保証協会の審査があります。申込受付と融資実行の時期を区別して相談してください。
2. 公庫の特別利率の適用
有効な証明書を取得した方は、新規開業・スタートアップ支援資金の「特別利率A」の対象です。2026年9月1日現在の金利表では、基準利率より0.40ポイント低く設定されています。女性、35歳未満、55歳以上のいずれかにも該当する場合は特別利率Bの対象です。原則として土地にかかる資金は除かれます。
前述の創業期の0.65ポイント引下げを行う特例制度との併用も案内されています。最終的な適用金利は、公庫へ確認してください。
参考:創業支援貸付利率特例制度
3. 持続化補助金〈創業型〉の申請準備
持続化補助金〈創業型〉では、この支援と証明書が申請要件の一つです。後述する開業日と支援を受けた日の条件も確認してください。
創業関連保証の特例と公庫の利率引下げは、証明書の発行元とは別の市区町村で創業する場合も利用できると案内されています。ただし、証明書自体の交付対象や有効期限は発行元に確認してください。
参考:仙台市・優遇措置の案内
弁護士法人の設立は、登録免許税の軽減対象外
証明書による会社設立時の登録免許税軽減は、租税特別措置法第80条第3項により、株式会社・合同会社の設立が対象です。弁護士法人の設立は含まれず、個人開業にも設立登記がないため適用されません。
開業後の集客に活用する|持続化補助金〈創業型〉
上限200万円。法律事務所も対象になり得る
小規模事業者持続化補助金〈創業型〉は、創業間もない小規模事業者の販路開拓などを支援する制度です。補助上限は200万円、補助率は2/3。インボイス特例の要件を満たす場合は、上限が50万円加算されます。
第4回公募要領は、対象になり得る事業者として個人事業主や、弁護士・税理士等の士業法人を挙げています。法律事務所が該当する通常のサービス業では、常時使用する従業員が5人以下であることが基本です。単純な在籍人数とは数え方が異なるため、役員や勤務形態も確認します。
開業日と、創業支援を受けた日の両方を確認する
第3回以降は「創業後1年以内」が対象です。さらに、本人または法人代表者が、前述の特定創業支援等事業による支援を受け、証明書を取得している必要があります。
第4回では、次の2つの日付が、どちらも2025年12月15日〜2026年12月15日に含まれることが必要です。
- 特定創業支援等事業による支援を受けた日
- 開業日、または法人の設立年月日
開業日だけが期間内でも、支援を受けた日が期間外なら要件を満たしません。
また、申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。開業済みでもサービス提供の準備中という場合は対象になり得ますが、補助事業終了までに事業活動を始める必要があります。個人事業を法人化した場合も、個人事業の開業日からの期間を確認してください。
広報費・ウェブサイト関連費は、それぞれ上限30万円
活用を検討する例としては、相談サービスを紹介するホームページの制作や改修、チラシ・パンフレットの作成、広告による新たな相談者の獲得などがあります。事務所の経営計画に基づき、どのように販路開拓につながるかを説明します。
ただし、第4回では広報費とウェブサイト関連費の補助金交付申請額は、それぞれ上限30万円(税込)です。チラシ・パンフレットや広告は広報費、ホームページ制作・改修はウェブサイト関連費に当たります。
広報費のみ、またはウェブサイト関連費のみでの申請はできず、いずれもほかの対象経費と組み合わせる必要があります。「上限200万円だから、広告やホームページ制作だけで200万円まで補助してもらえる」という意味ではありません。
第4回の申請受付は2026年11月5日から12月15日17時まで。商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」の発行受付締切は12月4日です。申請締切より早いため、余裕をもって相談しましょう。採択発表は2027年3月頃の予定で、2026年中に補助金が入金される制度ではありません。
参考:公式スケジュール
都内で開業するなら確認したい|東京都創業助成事業
上限400万円の内訳と対象経費
東京都創業助成事業は、都内で創業を予定する個人や、創業後5年未満の中小企業者等のうち、所定の要件を満たす方を対象とします。
助成率は対象経費の2/3以内、上限400万円・下限100万円です。ただし、次の区分ごとに助成額の上限があります。
- 事業費・従業員人件費:合わせて上限300万円
- 委託費に当たる市場調査・分析費:上限100万円
賃借料、広告費、器具備品購入費などが対象経費に含まれます。家賃や備品だけで400万円まで助成されるわけではなく、少額の支出だけでは助成下限に届かない点にも注意してください。
参考:東京都創業助成事業・概要
独立前の事業経験も申請条件に関わる
令和8年度第2回の募集要項では、個人事業主を対象に含め、士業法人も対象と明記しています。個人開業医は除外されていますが、弁護士・士業全般を除外する規定ではありません。法律事務所も、所在地や事業歴などの条件を満たすか確認したうえで検討できます。
特に注意したいのが、個人事業主・法人代表者としての経営経験が通算5年未満という要件です。新しい事務所を開く日だけで判断せず、独立前から個人事業を行っていた期間や、別法人の代表者だった期間も確認してください。都内で事業を行う実態や、納税地等の条件もあります。
さらに、指定された創業支援等の利用が必要です。前述の特定創業支援等事業も選択肢の一つですが、都内区市町村長の証明を過去3か年以内に受けていることなどが条件です。TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援など、ほかの選択肢も含めて申請要件の一覧・募集要項・10〜11ページを確認しましょう。
令和8年度第2回の申請期間は、2026年9月29日10時〜10月8日23時59分。交付決定は2027年3月1日の予定です。原則として交付決定後の対象期間に契約・実施・支払いを行う経費が対象で、賃借料・従業員人件費には契約時期の例外があります。創業前の個人として申請する場合も、開業届を出す前の経費まで対象になるわけではありません。
業務ソフトを導入する|デジタル化・AI導入補助金
案件管理や会計などの業務を効率化する
デジタル化・AI導入補助金2026は、ITツールの導入による業務効率化や生産性向上を支援する制度です。法律事務所では、案件管理や会計などの業務ソフトが検討対象になります。ただし、対象となるのは事務局に登録されたITツールで、登録されたIT導入支援事業者と申請を進めます。
参考:公式申請フロー
通常枠の補助率は原則1/2以内で、一定の賃金要件を満たす場合は2/3以内です。補助申請額に応じて、導入するITツールに必要な業務プロセス数が変わります。
- 5万円以上150万円未満の申請:1プロセス以上が必要
- 150万円以上450万円以下の申請:4プロセス以上が必要。賃上げ目標も必須
4プロセス以上でも、補助申請額を150万円未満にすることは可能です。
150万円未満では、所定の賃上げ計画は原則として加点項目です。ただし、IT導入補助金2022〜2025の交付決定を受けた事業者は、150万円未満でも申請要件となります。
ソフトウェア購入費や、最大2年分のクラウド利用料などが対象です。通常枠ではソフトウェアの導入が必須であり、開業時のパソコン購入全般を支援する制度ではありません。
参考:通常枠の概要・公募要領・19ページ
開業直後は、申請書類をそろえられるかが重要
この補助金は、開業しただけで申請できるものではありません。通常枠では、個人事業主に所得税の納税証明書、2025年分の確定申告書の控え、同年分の青色申告決算書または収支内訳書などを求めています。やむを得ない事情がある場合は2024年分も提出できますが、所定の書類以外の代替書類は認められていません。
そのため、法律事務所の個人事業として2026年に初めて開業し、2025年分の事業所得に関する申告書類がない方は、通常、この書類要件を満たせません。一方、2025年中に開業して2025年分を申告済みであれば、ほかの要件と併せて申請を検討できます。開業届だけで申請できるとは考えず、契約前にIT導入支援事業者へ確認しましょう。
なお、確定申告書の受付番号・受付日時等で税務署の受領を確認できない場合は、「確定申告書 第一表の控え」と同一年度の「納税証明書(その2・所得金額用)」を提出することで、必要書類を充足できるとされています。これは、任意の書類による代替を認めるものではありません。
申請にはGビズIDプライムが必要です。公式案内では、審査期間はオンライン申請で最短即日、書類申請で最大1か月とされています。オンライン申請にはマイナンバーカードと対応スマートフォンなどが必要です。利用できる申請方法を確認し、早めに手続きを始めてください。
また、ITツールの契約・導入・支払いは交付決定後に行います。通常枠5次の締切は2026年9月29日17時、交付決定は11月9日の予定です。開業日までに導入を終えたい場合は、その日程と合うかも確認してください。
参考:公式スケジュール
IT導入補助金2025の通常枠または複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、その交付決定日から12カ月以内に、2026年通常枠へ申請できません。過去の採択歴がある場合は、交付決定日も確認しましょう。
開業地の自治体・弁護士会の支援も確認する
自治体の窓口では、創業支援と制度融資を確認
開業地が決まったら、自治体の創業支援窓口で、地域の助成制度や制度融資、創業相談の有無を確認しましょう。例えば東京都創業助成事業の申請要件には、東京都や都内区市町村の創業向け制度融資の利用も含まれています。
参考:東京都・申請要件一覧
自治体独自の補助金や利子・保証料の補助は、特定創業支援等事業の証明書とは別に条件が定められます。開業予定地、事業形態、開業日、必要な経費を伝えて相談しましょう。
地方で開業する場合は、日弁連の偏在解消支援も選択肢
日弁連には、弁護士の偏在解消が必要な地区で独立開業する弁護士等に対し、事務所開設費用や当面の運営費用として、上限350万円を無利息で貸し付ける制度があります。即時・早期独立の場合は、弁護士会等から実務面の支援を受けられることが条件です。
全国どこで開業しても使える制度ではありません。地方開業を検討している方は、候補地が対象地区に該当するか、開業前に日弁連や現地の弁護士会へ確認してください。
補助金・融資を検討するときの確認チェックリスト
最後に、申請に向けて確認したい事項を整理します。
- 必要な資金を分ける:開業時の初期費用、毎月の運転資金、補助金入金までの立替資金を把握する。
- 対象者の条件を確認する:開業日、従業員数、過去の事業経験、個人・法人の別を確認する。
- 特定創業支援等事業を早めに確認する:利用する制度に必要かを確かめ、受講期間と証明書の発行期間を確保する。融資相談は並行して進める。
- 申請書類・アカウントを準備する:必要な年分の確定申告書などをそろえ、GビズIDプライムも早めに取得する。
- 契約日と申請日程を照合する:締切だけでなく、交付決定日と支出できる期間を見る。
- 実施後の手続きまで見込む:見積書・契約書・請求書・支払記録を保管し、実績報告の期限を管理する。
複数の制度を使う場合は、同じ経費への重複補助だけでなく、制度自体の併用制限も確認が必要です。費目を分ければ必ず併用できるとは限らないため、申請予定の制度を各窓口に伝えておきましょう。
開設間もない法律事務所は、Armanaを1年間無料で利用できます
開業直後は、費用を抑えることと同時に、案件・依頼者・期日・対応履歴の管理方法を早めに整えることも重要です。表計算ソフトや個人の予定表で管理を始めると、案件が増えてから情報を移し替える負担が生じます。
Armanaは、開設してから1年以内の法律事務所・弁護士法人様を対象に、契約開始日から12か月間、Armanaの利用料を無料とするキャンペーンを実施しています。
キャンペーン対象
- Armanaへの問い合わせ日から1年以内に、新たに開設した法律事務所または弁護士法人
※個人事務所から弁護士法人へ組織変更した場合、法人設立日ではなく、もとの法律事務所の開設日で判定
※事務所の移転や名称変更のみの場合は、新規開設には含まれません
開設時期は、次のような資料のうち、いずれか1点で確認します。
- 個人事業の開業届の控え(電子申告の受信通知を含む)
- 弁護士法人の履歴事項全部証明書
- 事務所の賃貸借契約書
- 所属弁護士会への事務所届出日が分かる資料
これらを用意しにくい場合は、開設時期を確認できる別の資料でも構いません。確認はキャンペーンの対象判定に必要な範囲で行います。
キャンペーン特典
対象事務所は、Armanaの契約開始日から12か月間、利用料が無料になります。補助金とは異なり、採択審査や立替払い、実績報告はありません。既存契約への遡及適用はありません。無料対象となるプラン・アカウント数・有料オプション等の詳しい条件は、申し込み時のキャンペーン案内をご確認ください。
Armanaでは、案件の進捗、通信記録、関連資料、予定・ToDoなどを一つのシステムで管理できます。開業時から管理方法をそろえておけば、案件が増えた後の引き継ぎや情報整理もしやすくなります。
参考:Armanaの機能を見る
参考:Armanaの導入・キャンペーンについて問い合わせる
まとめ|開業日から逆算して、資金と業務環境を準備する
法律事務所の開業では、まず必要な資金と支払い時期を把握し、自己資金や融資で準備する額を考えます。そのうえで、集客や業務ソフトなどの支出に補助制度を活用できるか確認しましょう。
開業後の業務環境も、資金調達と並行して準備します。2024年1月1日以降に開設した事務所は、Armanaの1年間無料キャンペーンを利用できるか確認してください。それ以前に開設した事務所でも、デジタル化・AI導入補助金を利用できる可能性があります。

執筆者
株式会社カイラステクノロジー
IT導入補助金チーム
IT導入補助金2019から、毎年、IT導入支援業者登録し、法人だけでなく、
個人事業主の、IT導入補助金の申請および事業実施報告をサポートしています。
過去の申請の経験を活かした記事をご提供します。






