
目次
はじめに
民事裁判手続のデジタル化に対応するため、現在、法律事務所がオンラインでの申立てや書類の提出・受取に使っているのがmintsです。
しかし、mintsが最終形というわけではありません。2027年からは、新しい裁判システム「TreeeS(ツリーズ)」が順次導入される予定です。
まず押さえておきたいのは、次の3点です。
- 現在使うのはmints
- 2027年1月から一部の裁判所でTreeeSを先行導入
- その後、2027年度中の全国導入を目指す
裁判所内部では、事件管理に使うRoootS(ルーツ)という別のシステムも稼働しています。最高裁判所の資料では、これらを含めて「e提出・e事件管理・e法廷」という「3つのe」を実現するシステム群全体をTreeeSと呼ぶ場合もありますが、法律事務所が直接使うのは、オンラインで申立てや書類提出、記録閲覧などを行う部分です。この記事では、その部分をTreeeSと呼びます。
以下では、法律事務所の実務に関係する範囲に絞って、mintsとTreeeSの違い、導入時期、切替時の注意点を解説します。
mintsの次に導入されるTreeeSとは?
TreeeSは、民事裁判手続のオンライン申立て、書類提出、事件記録の閲覧などに使われる新しい裁判システムです。
法律事務所の立場から見ると、mintsとTreeeSの違いは、ひとまず次のように整理できます。
下記の表は横スクロールでご確認いただけます| mints | TreeeS | |
|---|---|---|
| 役割 | 現在のオンライン申立て・提出・受取等に使用 | 将来のオンライン申立て・提出・記録閲覧等に使用 |
| 2026年8月時点 | 運用中 | 導入前 |
| 今後 | 当面は対応が必要 | 2027年1月から順次導入予定 |
つまり、今はmintsを使いながら、今後TreeeSへの切替に備える段階です。
TreeeSはいつから使われる?
2026年8月時点で公表されている予定は、次のとおりです。
下記の表は横スクロールでご確認いただけます| 時期 | 予定 |
|---|---|
| 2026年5月21日 | 民事訴訟手続が全面的にデジタル化。訴訟代理人は原則オンライン申立てが義務に。改修後のmintsで対応 |
| 2027年1月 | 名古屋高裁本庁、名古屋地裁とその支部、同地裁管内の各簡裁でTreeeSを先行導入 |
| 2027年度中 | 全国の裁判所へのTreeeS導入を目指す |
先行導入後、どの裁判所へどの順番で展開するかという詳しい日程は、まだ一般向けに公表されていません。
mintsからTreeeSへ一斉に切り替わる?
全事件が同じ日に一斉にTreeeSへ切り替わるわけではありません。
日弁連は、TreeeS導入後には、申立方法が異なる複数種類の事件が同じ時期に存在すると案内しています。導入庁で新たに申し立てる事件はTreeeSを使う一方、すでに進行している事件などでは、別の申立方法が残ると考えられます。
ただし、これは同じ事件でmintsとTreeeSを自由に使い分けるという意味ではありません。
- 同じ時期に「mintsを使う事件」と「TreeeSを使う事件」が存在する可能性はあるが、同一事件で両方を自由に併用するわけではない。
実際の切替時には、事件ごとに、係属裁判所や所属弁護士会の案内を確認する必要があります。
mintsはいつまで使う?
2026年8月時点で、mintsの終了日は公表されていません。
TreeeSは2027年1月に一部地域で先行導入され、その後、全国へ展開される予定です。また、導入後も申立方法の異なる事件が存在すると案内されています。
したがって、現時点では「いずれTreeeSになるから、mintsへの対応は最低限でよい」とは考えない方がよいでしょう。当面はmintsを確実に運用しながら、TreeeSに関する新しい案内を確認していく必要があります。
まだ公表されていないこと
法律事務所にとって重要でも、まだ一般公開資料では確認できない事項があります。
- mintsのアカウントをTreeeSでもそのまま使えるか
- mints上の事件データがTreeeSへ移行されるか
- すでに進行中の事件をどこまでmintsで扱うか
- 移送・上訴時にどのシステムを使うか
- 裁判所ごとの詳しい導入順序
- mintsの最終的な終了時期
「アカウントやデータは自動で引き継がれる」「導入日にすべて切り替わる」といった前提では準備せず、今後の公式案内を待つ必要があります。
家事事件や破産事件はどうなる?
家事事件、倒産、民事執行、労働審判等についても、2028年6月までにオンライン申立て等の対象となる予定です。2026年6月10日の最高裁判所長官挨拶でも、家事と民事非訟の手続について、同月までにデジタル化を全面的に開始する予定と述べられています。
このうち家事事件と人事訴訟については、最高裁判所が2025年7月に、RoootSとTreeeSを対応させるための改修を公募しています。一方、倒産や民事執行のオンライン申立てをどのシステムで受け付けるかは、公表されていません。
法律事務所が今から準備できること
TreeeSの詳しい操作方法が公表される前に、特別なシステム対応を急ぐ必要はありません。まずは、現在のmints運用と事務所内の案件管理を整理しておくことが重要です。
- 裁判所に提出したPDFの最終版を案件ごとに保存する
- 送達を確認した日、次の対応期限、担当者を記録する
- 誰が、いつ、何を確認・対応したかを残す
- 切替後は、事件ごとにmintsとTreeeSのどちらを使うか確認する
裁判所側のシステムが変わっても、事務所内で案件、書類、期限、担当者、対応履歴を確認できる状態にしておけば、切替時の混乱を抑えやすくなります。
Armanaでできること
法律事務所向けクラウド業務管理システム「Armana」では、案件ごとに関連資料を保存し、ログに対応履歴、ToDoに期限や担当者を登録できます。
たとえば、裁判所に提出したPDFを関連資料に保存し、送達を確認した日をログ、次の対応期限や担当者をToDoに記録できます。mintsとTreeeSのどちらを使う事件かもログに残しておけば、案件を開いた際に確認できます。
ArmanaはmintsやTreeeSを代替するものではなく、現時点で自動連携する機能もありません。裁判所への提出・受取は各裁判所システムで行い、Armanaは事務所側の案件管理を支援します。
よくある質問
Q1. TreeeSはいつから使われますか?
2027年1月に名古屋地域の対象庁で先行導入され、2027年度中の全国導入が目指されています。
Q2. TreeeSの導入と同時にmintsは終了しますか?
終了日は公表されていません。導入後も申立方法の異なる事件が存在すると案内されているため、一律に終了するわけではありません。
Q3. mintsのアカウントやデータは引き継がれますか?
2026年8月時点の一般公開資料では確認できません。自動的に引き継がれることを前提にせず、今後の公式案内を確認してください。
Q4. 同じ事件でmintsとTreeeSを併用しますか?
同一事件で二つのシステムを自由に併用するとの案内は確認できません。公表されているのは、同じ時期に申立方法の異なる事件が存在するということです。
まとめ
mintsの後には、TreeeSという新しい裁判システムの導入が予定されています。
- 現在はmintsを使用する
- TreeeSは2027年1月に名古屋地域で先行導入される
- 2027年度中の全国導入が目指されている
- mintsの終了時期やアカウント・データの引継ぎは未公表
- 切替後は事件ごとに使用するシステムを確認する
現段階で必要なのは、TreeeSを過度に先回りすることではありません。まずはmintsを確実に運用し、案件ごとに書類、期限、担当者、対応履歴を管理しながら、今後の公式案内を確認していきましょう。
Armanaでは、案件情報、関連資料、ログ、ToDo、担当者などを案件単位で管理できます。現在の管理方法を見直したい場合は、資料請求や無料デモをご活用ください。
参考資料
- mintsについて|裁判所
- 民事裁判手続のデジタル化|裁判所
- 日弁連新聞 第613号(2025年4月1日号)|日本弁護士連合会
- 日弁連新聞 第628号(2026年7月1日号)|日本弁護士連合会
- 高等裁判所長官・地方裁判所長・家庭裁判所長会同 最高裁判所長官挨拶(2026年6月10日)|裁判所
- 家事事件手続等のデジタル化に伴うシステム改修等業務の公募公告・調達資料|裁判所

執筆者
株式会社カイラステクノロジー
法律業界チーム
法律業界における実務や制度動向を踏まえ、法律事務所や士業事務所向けの情報発信を行っています。
法務関連業界の課題や運営実務に寄り添い、これまでの知見を活かした、実務に役立つ情報を提供します。

